燃える意気込み










『オラァアッ! 行くぜーっ!』

 クマ特製のインカムから完二の声が聞こえてくる。

 もー耳がいたいっつーの!

 今日の完二はなんだかとっても気合が入っているようだった。
 それもそうかな?
 今日の探索は直斗くんと一緒だからね。

「でも、気合入れすぎ」

 張り切りすぎてヘマしないでよー?と思っている間に、攻撃がかわされて完二が転んだようだった。

 あーもうっ! 言ったそばから!

『巽くん、大丈夫ですか?』
『すまねぇ』

 二人の会話が聞こえてくる。

 ああ。何でかな。
 胸がズキズキする。

 本当は知っているこの痛みの正体。
 でもまだ気がつきたいくない。

「完二ーっ。しっかりしろーっ!」

 やけくそでいまだダウンしている完二を追い立てると『うるせーっ!』と返ってきて少しだけ笑う。

「頑張んないとおっとっとの潜水艦あげないからっ!」

 さらに続けると、

『バカヤロウ! 潜水艦は自分で見つけなきゃ意味がないんだよ!』

 命のやり取りをしているのにそれでも律儀に返事をする完二に私は爆笑した。







配布元:Abandon
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