あなたからの応援
髪の毛を撫でる小さな手。
精一杯、細い腕を伸ばし抱きしめてくれる腕。
柔らかな胸を定期的に叩く少し早めの鼓動。
何もかもが優しくて涙がこぼれそうになった。
「大丈夫。大丈夫ですよ」
少女にしては少し低めの、けれど慈しみの込められた声に慰められる。
「大丈夫。きっと、菜々子ちゃんは元気になって戻ってきます」
こめかみに一つ、触れるか触れないかの柔らかな感触が触れた。
「あなたが命をかけて守ったんですから」
「直斗・・・」
女性らしい、豊かな胸から顔を上げると間近にある愛しい彼女の顔。
見つめればすぐに頬が赤く染まって、はにかむように笑顔を浮かべた。
そっと唇を近づければ意図を察した彼女が少し困ったように眉を寄せたが、それは嫌がっての事ではないと知っている。
二度三度と啄ばむ様にしてから、再び胸元に顔を寄せた。
彼女の言葉は不思議だ。
どれだけ心が深く沈んでも、その一言で羽のようにふんわりと浮かんでくる。
「僕はあなたの傍にいます。だから、早く元気になってくださいね」
ぎゅっと腕に力が入る。
暖かい心と体に包まれて、自然と安堵のため息がこぼれた。
「ありがとう・・・」
誰よりも俺を癒し元気付けてくれる最愛の人。
直斗という、かけがえのない俺の元気の源。
配布元:Abandon
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