たどたどしくもただ愛しくて。










「今日はぼくがするよっ」

 なにを思ったのか、今夜に限ってファルーシュが俺に乗りかかって服を解き始めた。
 露になる肌に不器用に口付けるその様は愛らしいの一言。
 だが、ベルトを外し、ファスナーを下ろして俺のものを取り出したところで、「おい」と静止の声を上げた。
 しかしファルーシュはその声を無視して両手でまだ柔らかいそれを弄ぶ。

「お、おい」

 いきなり揉みしだかれて動揺のあまり声が出た。

 そんな純粋な目をしたまま弄るなっ。

 声には出せなかった心の声。
 だが、ファルーシュは己の手の中のものに夢中なのかこちらを見向きもしない。

 当然の事だが、触られればそれなりに反応するものだ。
 俺のも例に漏れず固さを持ち始めたのだが、その過程をまじまじと見つめられていたたまれない。

「・・・ファルーシュ」

 耐え切れず名を呼べば、ファルーシュはピクリと肩を揺らして顔を上げた。
 その白い顔がほのかに赤く染まり始め、今さら何を握っているのか理解したかのように慌てふためいているようだった。

「無理をしなくてもいいんだぞ?」
「む、無理じゃないよ!」

 大きく首を横に振り、再び強弱をつけて揉みだした。

「うっ・・・」

 突然の刺激に思わず声が零れる。
 同時に息を呑む気配を感じて目を開くと、そこには瞳の色を変えたファルーシュがいた。

 手が、上下に動き出す。
 小さな唇がそれに近づき先端に口付ける。
 舌が伸ばされ、舐められた。

「ファ、ルーシュっ」

 はっと、俺が息を吐くとファルーシュは満足したように笑みを浮かべて、とうとう本格的に口淫を始めた。

「んっ」

 上擦る声を上げながら歯を当てないように唇で銜え、裏筋をなぞる。
 それはけして上手いとは言い切れるものではなかった。

 けれど。

「ゲ、ゲオルグ、気持ちいい?」

 白い頬を高潮させ、とろりと瞳を蕩けさせながら口元の、先走りも混じっているだろう唾液をぺろりと舐め取るしぐさはひどく艶かしい。

 たどたどしかろうとも、ただこの子供が俺を気持ちよくさせようと懸命な姿が愛しくて。

「・・・ああ、気持ちいいぞ」

 深く吐息を零しながら言う。

「・・・よかった」

 ファルーシュは目を細め、これ以上ないほど綺麗な笑みを浮かべた。








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