空がきれいな夜は感想がききたい。










 ゲオルグ。
 あなたと道を違えてから、何度目かの季節が通り過ぎたよ。
 あなたは今、どこにいてなにをしているの?

 きっと、ゲオルグの事だからまたどこかで戦に巻き込まれているんだろうね。
 

 ぼくはファレナに戻ってすぐに女王騎士長を拝命されたんだ。
 もちろん、リムの伴侶が決まるまでの代理だけれど。

 毎日忙しくして、あっという間に過ぎていく。
 それこそ、過去を振り返る隙もないくらいに。

 でもね、やっぱりふとした時に思い出すんだ。
 あなたの事。
 あなたと、過ごした日々を。

 あの別れの日。もう二度と会うことはないと覚悟したけれど、あなたに会いたいと願う感情は何年もたった今も少しも薄れる事はなくて、とても苦しいよ。





 ゲオルグ。
 あなたの声が聞きたい。
 あなたに触れたい。
 あなたに触れて欲しい。

 痛いくらい抱きしめあって、苦しくなるくらいキスをして、全身であなたを感じたい。

 ゲオルグへの想いは嵐のように吹き荒れてぼくの心を乱す。
 いてもたってもいられなくて叫びたくなる時だってある。

 そんな時はいつも夜空が綺麗な日だった。
 あなたと見上げた満天の星空がぼくを駆り立てる。

 このままファレナを飛び出してしまえ、と。
 ・・・そんな事、できないのに。


 ねぇ、ゲオルグ。
 あなたはぼくを思い出してくれている?
 ぼくと同じように、ぼくに触れたいと思ってくれている?
 ぼくをまだ、愛していてくれている?
 もしそうなら、役目を捨ててあなたを追っても、いいかな?





 ・・・なんて。冗談だよ。








 一度決めた事だから、ぼくはそれを全うする。
 いつか、ゲオルグのもとへ向かう事ができたのなら、その時は聞いてみたいと思う。

 空の綺麗な夜に、ぼくを思い出してくれたのかどうかを。








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